第15回:LONG VACATION

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年が明けるとすぐ、日本に帰国しました。
思ったより様々なことが積み重なっていたようで、とにかく早く日本に帰りたいという気持ちが強くなっていました。とりあえずゆっくりして、アタマと身辺をすっきりさせよう。今年はそうやって地味に修行僧のように過ごそうと思っていました。

それから上海に戻るまでの約2ヶ月間、文字通り修行の日々でした。

楽しかったのはほんの1-2週間くらいで、今さらながら日本での生活や行動に、カルチャーショックを受けたり違和感を覚えたり、帰国前あんなに嫌気がさしていた上海に早く帰りたいと 思うようになり、そんな自分に軽い衝撃を受けました。何より、上海と日本の時間の流れる速さの違いを、毎日肌で感じていました。

もちろん毎日は充実していて、大阪では、5月の舞台に向けてミーティングしたり、東京の番組スタッフの京都ロケを手伝ったり、その合間に通天閣に上ったりしました。東京では、上ステの会議をしたり、友達に会ったりと忙しく過ごしました。実家のある仙台に戻ってからは、毎日外出するのは控えていましたが、上海のルームメイトから送られてくるウェブの仕事を黙々とこなし、温泉に行くなどの家族行事を楽しんだりしていました。

ゆったりと、充実した毎日。このまま日本に留まって、働いて、友達もたくさんいて、安定していて、もしかしたらそういう風に過ぎていく日々の悪くないのかもしれない。でもやっぱり、何か足りなくて、息苦しいと感じるのはどうしてなんだろう。

私は一体、何を求めているのか?どこへ向かっているのか?考える時間はたくさんありました。

今回帰って強く思ったことは、やっぱり日本と上海は全く違う、ということでした。

今年で上海歴5年になるからか、新鮮だったことや、注意しなければならないこと、受け入れられなかったこと、心を揺さぶられた多くのことが、日常生活での常識になってしまっていたんだと気づいたのです。そして、日本の報道では、上海での日常生活の息遣いを伝えられないこと。「見る」と「感じる」とでは大違いで、ニュースで見る上海は、やけに平たく感じました。切り取られた一瞬は、音も色もぼんやりとしていて、どこか遠い、知らない場所の映像を見せられているように感じました。

腹の立つことばかりだし、見直すことはあっても素直に「好き」と絶対言いたくない、あまのじゃくな上海への思いを抱えている自分だけど、それでもやっぱり、あの惹きつけられる街の躍動感や、自分がどうしようもなく小さく思えてしまうほどの懐の広さを、できる限り多くの人に伝えたいと思いました。そして、伝える価値があると思えました。

2月15日、再び浦東空港に降り立ちました。

2004年2月10日に初めて足を踏み入れてから、上海で5回目の春を迎えようとしています。まだまだ気を許せないけれど、「帰ってきたな」と感じさせてくれる曇り空を見上げながら、そう感じている自分を悪くないなと思う自分がいました。

ここでやりたいことはたくさんある。会いたい人もたくさんいる。これからはそれに、やるべきことがひとつ加わっただけ。今ここで感じている気持ちを忘れたくないと思いました。少し長めの休暇を終え、日常へ戻るため、私は深呼吸してバスに乗り込みました。

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タカハシ アヤ
宮城県生まれ。 国際基督教大学教養学部卒業。2004年より上海戯劇学院に留学。 その後、上海にて映像制作の仕事に関わる。現在は東京で、コーディネーターときどきウェブ、イベント制作を担当しています。

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