留学生の声第24回:尼寺孝彰さん

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研究のための出会いが、独自のネットワークに。
上海生活は、人とのつながりで広がっていく。

Q.留学の期間は?
2007.2~2007.3 復旦大学に短期留学
2010.9~2011.7 復旦大学新聞学院修士課程

最初は大学2年生のときに、短期留学で復旦大学に1カ月ほど通いました。冬休み中のクラスで、復旦大学が開講しているというよりは、復旦大学の教室を利用した冬季コースという感じでした。1クラス20人程度で、初・中・高級が2クラスずつくらいあり、自分は中級クラスに所属していました。クラスメイトは日本人が大半で、20代後半の女性や退職した男性などが多かったです。

大学卒業後は大学院に進学し、「中国の若者からみる階層の再生産過程」について研究するため、大学院の制度を利用して復旦大学新聞学院に留学しようと考えました。新聞学院は1学年100人ほどで、中国本土や台湾、マカオの他に韓国、カナダ、ブラジル、ミャンマー、ロシアなど多国籍でした。講義はすべて中国語で、生徒がそれぞれの研究について発表する機会も多かったです。

Q.中国行きのきっかけは?
短期のときは、大学で履修していた中国語クラスがとても厳しくてものすごく勉強していたので、どのくらい使えるのか試したくなって留学を決めました。北京か上海という選択肢があったのですが、希望者の少なかった上海を選びました。大学の単位になるプログラムだったこともあり、業者がすべて手配してくれたので、受け身で観光気分でしたね。日本人の友人と一緒に豫園や外灘、南京路など観光スポットに出かけたりして、楽しく過ごしました。

その後インドに旅行したとき、現地の人たちはインドなまりがひどくて英語があまり通じず、初めての場所なので一人ではどこへも行けないし、何もできない、自分は赤ちゃんみたいだ!とショックを受けて、「言葉ができないなら専門性で勝負しよう」と思うようになりました。それだけが理由ではないですが、自分の専門性は何かと考えたときに、中国語ができたこともあり、「中国の若者」を研究テーマに選びました。・・・あとは、上海の食べ物が美味しかったので再び上海に来ることに決めました。

Q.寮生活は?
復旦大学の留学生楼に住んでいました。大学院の制度を利用して来ているので、寮費は無料です。なぜか布団もついていたのですが、他の人に貸したらなくしてしまって、賠償金を払ったので結局損しちゃいました・・・キッチンは共同で、みんな炊飯器やフライパンを一緒に買って共有しているようです。自分は一切自炊しないので、大学の近くで食べたり、友人と食べに行ったりしています。

Q.自炊ゼロなら、美味しいレストランなど詳しそうですね。
たまに良いところで食べたいときには、「蘇浙匯(JadeGarden)」に行ったりしますが、大学の近くの「徳龍館」の小籠包や、五角場の生煎も安くて美味しいです。ちなみに、留学生寮近くにあるカフェのフライドポテトも美味しいです。中華にあまりこだわってないのかもしれないですね。

Q.お気に入りの場所は?
散歩するのが好きなので、上海っぽくて歩きやすい茂名路や巨鹿路、富民路の雰囲気が好きです。
復旦大学のあたりは、自分のいる場所と目的地の間に何もなくて、点と点のようだと感じるので、実はあまり好きではないんです。友人にカフェ好きがいて、彼女に連れて行ってもらったカフェにもお気に入りがいくつかあります。ギャラリーを併設しているカフェや、開いている時間が不定期なカフェなど、個性的なところが多いんですよ。

Q.マニアックな人や場所を知っているんですね。
研究のためということもありますが、友人に友人を紹介してもらい、様々な階層の人と出会えている気がします。前述の彼女はシンガーソングライターで、元々友人を通して知り合ったのですが、さらにその彼女に紹介してもらったカフェのオーナーなどもいます。他にも屋台をやっている子やいわゆるお金持ちの子まで、出身地も生活レベルもばらばらの人に話を聞き、そこから親しくなって、もっと知りたいと思った人を後追い調査したりしていますが、最終的には修士論文にまとめる予定です。

Q.すっかり現地に溶け込んでいるように見えますが、困ったことはないんですか?
タクシーのトラブルが多いです・・・これまでに携帯電話を4台タクシーで失くしました。気付いてすぐにかけても電源が切れていたりして、見つかったことはないです。後は道を間違えたり遠回りされてケンカしました。その他は環境面でしょうか。トイレがあまりキレイじゃないとか。来たばかりの頃はもっといろいろあったんでしょうけど、聞きとれないので分かっていなかったんだと思います。笑

Q.では上海に来て良かったと思うことは?
調査の過程でいろいろな人と知り合い、地域や育った環境の違いで傾向が見えると、感覚的に今の中国のことを分かってくる気がします。その傾向を参考に質問して、「どうして分かるの?」と驚いた反応を見ると嬉しいです。学校以外にも日系企業でインターンをしていたのですが、そこでも貴重な経験を得ることができました。上司の方のブログを日本にいた頃から知っていて、そこにインターン募集のお知らせがあったので直接ブログにメッセージを送って採用してもらいました。不思議な縁ですが、上海は本当に人と人のつながりだと思います。

Q.最後に、これから行く人にメッセージをお願いします。
できれば若いうちに中国に来たほうが良いと思います。物価の面で特に、日本では2~3倍お金がかかって経験できないことを、ここでは経験できますよね。そうやって経験したことが、何年かして日本だけではなく世界中どこにいても活かせると思います。

尼寺さんのブログ:http://takaaki0115.blog95.fc2.com/
ツイッター:http://twitter.com/#!/takaaki0115

尼寺さんが留学したのは・・・
【復旦大学新聞学院】
住所: 上海市国定路400号 〒200433
問合せ: 復旦大学新聞学院(j-school@fudan.edu.cn)
URL: http://www.fudan.edu.cn/

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宮城県生まれ。 国際基督教大学教養学部卒業。2004年より上海戯劇学院に留学。 その後、上海にて映像制作の仕事に関わる。現在は東京で、コーディネーターときどきウェブ、イベント制作を担当しています。

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