映画「ラサへの歩き方 2400kmの祈り」

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(photo by naiyue)

チベットの小さな村の村人11人が、聖地ラサ、そしてカイラス山を目指して巡礼に旅立つ、約1年の物語。
老人、青年、妊婦、少女など老若男女から成る巡礼メンバーたちは、五体投地という仏教で最も丁寧な礼拝の方法で、長い時間をかけて2400kmという過酷な旅の道を進んでゆく。

チベットの人の、チベットでの巡礼の旅。
東京にいる日本人の自分とはかなり遠いところの物語のような気がするが、村人たちの息づかいが身近に感じられるのは、監督が彼らの日常生活から丁寧に描いているからだろう。普段は何を食べているのか、どのようにして食べているのか、何を話題に盛り上がっているのか。五体投地を本格的にするには、手板、前掛け、そして頑丈な靴が必要なことも知った。

季節は移ろい、真っ青な空や、一面の菜の花、そびえたつ山々などチベットの雄大な自然の中を村人たちはひたすらに進む。川で女性たちが髪をほどいて、可愛らしいピンク色の布を巻き込みながら三つ編みしたり、カラフルなシャツとエプロン姿で歌い踊る、色鮮やかなシーンもこの映画の見どころのひとつだと思う。

巡礼の道中では、大小さまざまな事件が起こる。
良いことも、あまり良くないことも、晴れの日も、暴風雨の日も、雪の日も。
村人たちは、どんなことがあっても進むことをやめない。大変なことが起きても、それを楽しんでいるようにも見える方法で、みんなで協力して乗り越えてゆく。だからといって、先を急いでいるわけではない。お茶に誘われたら立ち寄っておしゃべりしながら休むし、巡礼中の仲間がいればお茶に誘う。
その、偉大なるマイペースさに感動した。

聖地ラサに着いた村人たちは、そこからさらに遠いカイラス山を目指すこととなる。
ここでも彼らは迷わない。お金が尽きてしまったから、みんなで働く。新しい頑丈な靴を買って、準備をする。
目的があるから、そのために必要なものしかいらない、迷わず、自分にとって最良の道へ進んでゆく。
それがシンプルに生きるということなのかもしれない。

20160805-02

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ラサへの歩き方 2400kmの祈り
監督:チャン・ヤン|2015年|中国|118分
オフィシャルサイト

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タカハシ アヤ
宮城県生まれ。 国際基督教大学教養学部卒業。2004年より上海戯劇学院に留学。 その後、上海にて映像制作の仕事に関わる。現在は東京で、コーディネーターときどきウェブ、イベント制作を担当しています。

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