『現代書道』と ART HOTEL (THE 8 ART HOTEL ON THE BAND)

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知人のお誘いを受け5月のある土曜日 いそいそと展覧会のレセプションにお伺いしました。なぜ “いそいそ”なのか・・・その現代書画展 『一灘一貌』の開催場所が外灘8号のART HOTEL だったからという事。ホテルエントランスやロビー、カフェでの展示、しかも絵画や写真ではなく「書道」の展示ってどうなるの?とかなり興味をそそられていたからなのです。

以前からその名共々気になっていたART HOTEL。個人オーナーの経営である このこじんまりとした4階建てのホテルの内装はニューヨークを意識してデザインされたらしく外灘の重厚な建物群の外装からはちょっと離れ ごくシンプルで無機質な空間で構成され 照明や家具のセレクト、調度品のレイアウトに重きをおいているように感じられます。さて”ホテル”と「書道」の融合は如何に・・・

まず今回の展覧会は日本人書道家そして篆刻家でもある村瀬秀竹氏と中国人書道家 武六奇 筆名 春野氏との中日二人展であります。彼らの出会いは共通の知人との食事会でふとお互い書道をしている事が話題に上ったことから、、だそうで 共通の知人でさえ村瀬氏が書道を嗜んでいる事をご存知なかったらしく、しかも春野氏から言わせれば村瀬氏の書道は『現代書道』として世界に通用する芸術の価値がある作品だということを見抜き 春野氏が昨年10月頃に友人であるこのART HOTELのオーナーから展示オファーを受けた際に一緒にやりましょうと提案したということがそれを如実に物語っています。

なぜ春野氏は村瀬氏の書道の素晴らしさが世界に通用する芸術だと確信したのでしょうか。
村瀬氏と書道との馴れ初めは 小学校の授業からです。篆刻と出会うのも消しゴムハンコから始まっていると言います。たまたま偶然 素晴らしい先生方に恵まれ書道の影響から中国の古典・漢詩・ことわざにも興味を持ち大学時代は中国文学を専攻していたそうです。そして象形文字 篆書 草書・・・すべてを学んだ上で村瀬氏の創造力が生み出す造形的な文字、サインが無くとも分かる特徴ある作品の強さ、伝統書道を捨てず視覚芸術に進化させ作品の新鮮さを保つ力。

春野氏は日本であらゆる書道展を見て回り3千を超す作品を鑑賞。それでも村瀬氏の作品にかなうものはなかった。自分の目は確かだ!と。

[村瀬氏の作品]

今回の展覧会の作品は空間に合う「書」を意識しすべて新作でありこのホテルの為に書いた作品だということです。レセプションは5月でしたが4月下旬に一度飾り 合わないと感じた作品は書き直して完成させた力も気持ちもこもった展覧会。是非 古典の教養を深めるという堅苦しい気持ちだけでなく 見るアートとして視覚で楽しんで頂きたいと感じました。

[春野氏の作品]

春野氏の心がこもっている文面です。

『上海の外灘はニューヨークマンハッタンのようだ。ストーリーと芸術は夜ではなく春。
米国のフォトグラファー”追光”の撮影展の余韻の残る中、アートホテルの空間を春季展「一灘一貌」が引き継ぐ。ここで皆さんに伝えたい。彼 村瀬氏のストーリーを。私の良き友人として。
現代書道の芸術の過程の中で、彼の作品は十分に芸術の想像力の価値と体験が表現できている。ここ百年の書道芸術が現代化する過程の中で東西文化のぶつかりから発生した巨大な多次元の思考を基に芸術家は創造力と創作の知恵により新しい境地を生みだしている。

私は 新耽美主義の理念思考を推奨する中、現代書道芸術の使命はいかなる民族が使用する文字すべてが書道の基本要素で表現することができると感じる。私と我々の芸術存在の勇気を「一灘一貌」の展覧会で表現しているか否かを問いたい。これを序文とする。 春野』

*耽美(唯美)主義 たんびしゅぎ
美を何よりも優先させる。作品の価値はそこに盛られた思想或いはメッセージではなく形態と色彩の美にある。美の創造を芸術の唯一至上の目的として追求する創作態度。 芸術のための芸術の意。

外滩8号艺术酒店

THE 8 ART HOTEL ON THE BAND
上海市黄浦区延安东路7号甲

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参考記事:
「一灘一貌」現代書画展
财富人物 | 艺术空间】一滩一貌 帕奇艺空间春展

*そのほか、村瀬秀竹氏の作品が展示してある場所:
在上海浦东大道1036号锦园上海菜餐厅一到三楼看到我书法作品。

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上海在住。アート好き*飲む食べる大好き (写真:©Adachi Makoto)

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