道具の達人「包丁研ぎの周さん」

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中華料理で思い浮かぶ厨房用品といえば、中華鍋、分厚いまな板に、鉄製の重たいお玉、そして中華包丁。
中でも、中華包丁を自由自在にトントントンと操る手つきには、見とれてしまいます。最近では、ヨーロッパ製の特殊加工の包丁が大型スーパーなどで高額で売られていて、20~30代の女性が母親と物色しているのをよく見かけます。

以前、新築の上海人宅にお邪魔して台所を覗かせていただいたところ、ドイツ製の包丁が数本真新しくナイフスタンドに納められていたので、ここにも外国製が!と少し落胆していまいましたが、家主のお母さんは、重い中華包丁で果物をカットしていたので、ほっとした私です。はやり、中華包丁のほうが使い慣れているようです。

私が住む街は、昔ながらの長屋が続き、路地には小さな食堂が賑わうダウンタウン。
2階建の食料市場には、野菜、肉・魚など上海人の胃袋を満たすおいしい食材のほか、町工場で作られた包丁や鍋、食器や箸、日用品を扱う雑貨屋がありますが、ここで買える包丁は長く放置されて刃が錆付いたもの。とても切れ味など語れません。

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写真:何でもある雑貨屋

そこで、市場の入り口には、包丁研ぎの周さんが、前後に体をゆすりながら、すぐに使える状態にしてくれるのです。周さんの客は、市場の中の店主たちとそこに買い物に来る近所の住人。先日、体格のいい女性が周さんの前で仁王立ちになっていたので、覗いてみたら、糸切はさみを研いでもらっていました。刃物なら、何でも研ぐというプロ意識に感心し、私も先日、おばさんに倣って、全く切れなくなった布切はさみを研いでもらいましたが、2枚の刃の不具合もしっかり直してもらえて、大満足の切れ味でした。

包丁1本の研ぎ時間は大体5,6分。滑らかな刃で見た目もきれい。何も言わずとも柄の調節もやる丁寧さで、研ぐものによっても違いますが、値段は5元前後(約75円)です。

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写真:研ぎ待ちの包丁たち

周さんの商売道具は、長椅子に砥石を付けただけの移動式なので、出張研ぎもOK。他の市場や住宅街にも出没するようです。顔見知りの暇人が周さんに話かけても、手は砥石にくっついたまま。それもそのはず。買い物客が市場にいる時間は、20分弱。それに合わせて研ぎ上げなければならないわけですから。もしかしたら、市場で一番の働き者かもしれません。ただし、よく切れるようになった包丁は、使うことが嬉しくて、ついついたくさん切りすぎてしまいそうですね。

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写真:周さんが研いだ包丁で切った魚頭

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