上海から武夷山へ:古茶道を旅する・その4

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1978
2017.05.25 桐木村の暮らし

川のせせらぎが心地良い山の朝。
ゆっくりめに起きる。
隣の部屋ではさっそく試飲会が始まっている。
顔を洗い、朝ごはんを食べに隣の建物へ。
おばちゃんの作る地元朝ごはん。お粥に好きなおかずをのせて食べる方式だ。切り干し大根とししとうの炒め物みたいなのが美味しかった。

penghuan(パンホァン)に連れられ、裏山へ。
大きな石がゴロゴロしている道を抜け、丸太の橋を渡る。さっそくワイルドな予感。ここの山にもあちこちにお茶の木がはえている。数種類が混ざってはえているため、自然に交配されるらしい。お茶の油が採れる種類もあるという。これだけお茶に囲まれているのだから、人々の暮らしとも自然に結びついているのだろう。

家の周りを散歩してから戻ると、お茶農家の娘・ヤンヤンの父親が昨日の作業の続きをしていた。揉捻という、お茶の水分を絞り出す工程の最中らしい。このあと、発酵させ、乾燥させる。お茶づくりについて少し話したあと、写真を撮らせてもらう。緊張した面持ち。

お茶を飲み、まったりしたのち、パンホァンとふたりで山へ向かう。
晴れているが、風があるので暑くはなく、心地良い。
道沿いにはたくさんのお茶工場が立ち並んでおり、村人の暮らしが垣間見えるのが面白い。この地域のお茶は、一年に一度しか収穫されず、収穫の時期も長いらしい。収穫の回数、土や水も品質の良さに大きく関わるという。山の斜面に作られたいくつかの茶畑には収穫中の人々の背中が見えた。

山の上にある検問所に到着。
福建省と江西省の境目でもある。二匹の犬がこちらに寄って来たが、面倒くさそうに寝てしまった。検問所といっても外に人はおらず、車が通るときにだけ中から出てくるらしい。記念写真だけ撮って、江西省川の山から吹く冷たい風を感じ、山を降りることにした。

帰り道で、古茶道という、昔お茶を運ぶのに使われたという道を通ってみる。現在では使われていないが、ここを通る水道は使われているらしい。朽ち果てた道のそばに、以前建てられていたお茶工場の跡が残っていた。

古茶道が近道だったのか、思ったより早く帰り着く。夕涼みがてら、外に出てきたヤンヤンの姉の娘・シャオユーも桃をかじりながら可愛らしく迎えてくれる。ヤンヤンの家の軒下には、裏山で採った筍がたくさん干してあった。

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宮城県生まれ。 国際基督教大学教養学部卒業。2004年より上海戯劇学院に留学。 その後、上海にて映像制作の仕事に関わる。現在は東京で、コーディネーターときどきウェブ、イベント制作を担当しています。

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