上海から武夷山へ:古茶道を旅する・その6

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    1939

    空調がバリバリにきいた別荘地の朝。
    朝ごはんを食べに食堂へ行くと、老板娘(オーナー)が朝からばっちりメイクで出迎えてくれた。きのうは全身白、今日は全身黒。中国の富裕層のイメージを絵に描いたような彼女に、ミニスカートとハイヒールはかかせないのだろう。

    朝ごはんの後、別荘地を散策してみる。
    雲ひとつなく晴れた空、遮るものがないこの別荘地は直射日光が容赦なく降り注いでいる。開発が始まったばかりなのか、建築途中の建物が目立つ。別荘として使う者もいれば、ゲストハウスとして開放しているものも多くいるらしい。

    泊まっていたゲストハウス。愛車を洗う老板娘(オーナー)。

    散歩から戻り、中庭のブランコでのんびりしていると、茶室にいた老板娘がお茶をすすめてくれた。先客の男の子は、アモイから車で来たらしい。ここらへんの土地の値段、アモイの発展が最近めざましいこと、ドバイへ渡った姉の話など、話題は尽きない。お茶を飲み続けていると、心も身体もキレイになっていくとお茶業界の知り合いが言っていたが、一緒にお茶を飲むという行為には、人の心を開き、場を和ませる力が確かにあるように思う。

    penghuan(パンホァン)が部屋から出て来たので、近くのレストランに昼ごはんを食べに出かけた。食材を見て選んでくれた料理が次々と食卓に並ぶ。ここでも、もれなくタニシが出てきた。2人きりなので、なんとなく食べないわけにはいかなかった。・・・これまでも、ほぼもれなく出て来ていたのだが、人が多いのを良いことに手をつけていなかったのだ。ザリガニが好きとか公言しておいてなんだが、タニシを食べるのは生まれて初めてだった。オクラのニンニク唐辛子炒めが美味しかった。

    タクシーで駅へ向かう。
    帰りは、武夷山東から高鉄に乗るらしい。旅の疲れで2人ともあまり話す気にはなれず、武夷山の風を感じながら無言でホームに降りた。

    車窓から流れる景色を見ながら、ここ数日で飲んだお茶の味や桐木村の様子を思い出していた。
    関わり方も、お茶業界に対する思いもそれぞれだが、こだわりを持ってお茶業界に生きる人たちの熱に、少しだけ酔ったような気がした。

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    宮城県生まれ。 国際基督教大学教養学部卒業。2004年より上海戯劇学院に留学。 その後、上海にて映像制作の仕事に関わる。現在は東京で、コーディネーターときどきウェブ、イベント制作を担当しています。

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