映画「河の流れ 時の流れ(原題:河上變村)」:日本・香港インディペンデント映画祭に行ってきました。

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日本・香港インディペンデント映画祭に行ってきました。
「日本・香港の政治・歴史・社会のあらゆる現状を映し出す!」というこの映画祭は、日本初公開の香港作品9本と日本作品7本を1週間に渡り上映、上映後にはその日上映された作品の監督のトークショーが楽しめるという盛りだくさんな映画祭です。

今回は、シャンステも制作支援で関わった日中合作映画「チンゲンサイの夏休み」でスタッフとしてお世話になったジェシーさんの監督作品「河の流れ 時の流れ(原題:河上變村)」が上映されるということで、観に行ってきました。

監督自身の生まれ育った香港・西貢市の蠔涌村では、10年に一度お祭りが開かれます。海外に移民した者も家族を連れて帰郷し、親戚や友人と旧交を温めながらこの一大イベントを作り上げてゆくのです。お祭りの準備が進む中、ある家族の記憶と共に、村の過去、現在、そして未来が語られてゆきます。裕福な暮らしを求めて、海外生活への憧れを抱いて、家族に呼ばれて、それぞれの土地へ移民した者と、村に残り村を見守り続ける者。そのどちらにとってもお祭りは大切なものであり、土地と人の感情は切り離せないものだと気づかされます。

香港都市部の経済発展に伴う村の開発で、家族の土地が政府のものになってしまったり、フランスやイギリスなど、家族のほとんどが海外へ移民していたりと、香港の近現代史を見ているような社会派な作品なのですが、家族の物語に引き込まれ、感情を揺さぶられるのは、監督の丁寧な作品作りと愛情があるから。ゆったりとした時間の流れる美しい村の情景と家族の思い出が、あたたかい気持ちにさせてくれる作品でした。

「香港インディペンデント映画の特徴の一つは、社会派ながら、エンターテイメントでもあると言える」(映画祭パンフレットより引用)と、この映画祭を主催する映画監督のリム・カーワイさんは言います。作品のテーマを追求しながら、観客を楽しませることにも全力を尽くすとも言える香港インディペンデント映画は、複雑な歴史を抱えながらもいつも陽気で親しみやすく、時には不良っぽくて、訪れる人をあらゆる面で楽しませてくれる香港そのもののようだと思いました。

河上變村

(河の流れ 時の流れ/河上變村 Flowing Stories)
監督: 曾翠珊(ツァン・ツイシャン)|2014年|香港|102分
※DVD情報は こちら から

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日本・香港インディペンデント映画祭2017 オフィシャルサイト

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宮城県生まれ。 国際基督教大学教養学部卒業。2004年より上海戯劇学院に留学。 その後、上海にて映像制作の仕事に関わる。現在は東京で、コーディネーターときどきウェブ、イベント制作を担当しています。

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